●ガンタマ日記


◆最新の日記はこちらへ◆(98年12月)   ■11月  ■10月


1998年10月5日(月)
おもちゃはコミュニケーションツールだと思う。
僕はそれを証明したい。
しし座流星群が久しぶりにやってくる。
楽しみだ。
20年近く前にフェリーの甲板から見た
ジャコビニ流星群は、夜空のシャンペンシャワーだった。
星は流れ落ちる。
でも僕らはどこへ流れ落ちるのか。
たまには天然のおもちゃを夜空に見上げるべきなのだろう。

10月6日(火)
現在僕は3冊本を抱えている。
美術評論が一冊。
イメージ論が一冊。
浅草を主題にした幻想小説が一冊。
でもこの3冊がすべて出そろった時に、
人々は浅草やおもちゃがもっと好きになるだろう。
それから出版事情で遅くなった「骨董魔術論」も
出さなくては。
すこしピッチをあげるとしよう。
店では今日一日イーノのBerore and After Scienceを流していた。

10月7日(水)
ホームページを作るのと、
古いオートバイのレストアをするのと、
感じが似ている気がする。
パソコンもなんだか操作がアドベンチャーゲームのようだし。
朝からずうっとスイッチを入れっぱなしだ。
お茶の水の古書「五萬堂」主人と
「いい本が売れないのは、客の責任だ」
ということで盛り上がったことを思い出した。
おもちゃマニアの何人が聞く耳をもつだろうか?
好きなものは守るどころか、
戦わなくてはいけない。
「理想とは、戦闘計画だ」と
明治の美術運動家岡倉天心も述べている。

10月9日(金)
昨日の夜は空がきれいだった。
星座の名前を覚えようとしなかった罰があたったのか、
北の方角に流星雨は見えなかった。
おもちゃはある種のメタファーだというのは当然だとしても、
「もっともっと迷いなさい。迷子になりなさい。」
SF作家ブラッドベリの口癖だ。
迷子が怖くては冒険はできない。
なくなってしまっても、記憶に残るものがある。
おもちゃも流星も。
プロレスライターの斉藤文彦氏から電話が入った。
以前僕のことを書いたエッセーを新しく出す本に載せたいという。
もちろん快諾である。
書いた彼も気に入ってるし、書かれた僕も気に入っている。
いい本を出そうとしている人がいるのは、
すごくうれしい。

10月10日(土)
本日はノーパソコンデー

10月11日(日)
おもちゃマニアよりおもちゃファンの方ががいっぱいいることを、
忘れている。
マニアも業界も。
おもちゃがおもちゃファンから成り立っていることも、
忘れている。
アンティックトーイはおもちゃの密教である。
朝起きた途端に、言葉が降りてきた。

10月12日(月)
大好きな漬け物たくあんだが
澤庵和尚にもすばらしい一文がある。
「茶は好め
道具はすくな
かけ茶碗ひとつありても
ことたりにけり」
まことにごちそうさまです。

10月13日(火曜)
お茶の水古瀬戸珈琲で
足利銀行夫妻と日経BP氏と会う。
ホームーページの話をきこうと思った。
食事をしてから行くといったら、
みんな食事をすませてきてしまった。
気が変わって食べていかなかったので、
一人お腹がすいてしまった。
失敗。
コーヒーだけで11時までいた。
それにしてもお茶の水の本屋は
終わるのが早すぎる。

10月14日(水)
デジカメでいろいろ撮影しようと思っていたら、
意外なとこでトラブった。
つまりサンプルのメモリーカードだったために
わずか8枚しか撮れなかったのだ。
理由がわからずあわてた。
夕方秋葉原のTゾーンまで車で買いに行った。
パソコン接続キットは注意していたのに、

10月15日(木)
書肆ひぐらしから古書目録が届いた。
読んでいる時間はとても豊穣だ。
本の金粉と想像力の王国。
北海道の暴れん坊より金太郎の土人形が送られてきた。
東京へ来たら浅草米久の牛鍋をごちそうしよう。
感謝、感謝、感謝。
閉店間際にEXPOの鴻池くんが来た。

10月16日(金)
長いこと店の前に飾っていた
日立電気のシンボルマーク・ポンパ君を
売ってしまったので、
なんだか店の前がさびしくなってしまった。
売れるとも思わなかったし、
風景の一部に溶けこんでいるような物だったから、
やっぱり居心地が良くない。
この手の物に限って、
いくらにも成らない値段で手放してしまうことが多い。
昼近く、キントト文庫の山本嬢来る。
夜Eメールがはいっていたが、ファイルが開けない。
最高にイライラする。

10月17日(土)
中野テルプシコールで
杉田丈作さんの舞踏「舞踏石M」を見る。
杉田さんは舞台セットとして脚立を使うことが多いが、
脚立を背負う彼の姿は、
まるで彗星を背負っているようで美しい。
僕の大好きな場面だ。
突如ヘンリ・ミラーのことを思い出した。
このあと家にジョーが来た。

10月18日(日)
空想のお客さんX氏はとても勝負運が強い。
とくに競馬が。
勝ち負けの勝負のリズムが見えるらしい。
おもちゃを買って人生の運をよくするという意見には
僕も大賛成だ。

10月19日(月)
北海道からのお客さん。
鉄人のメンコを買ってくれた。
ちょっとおまけする。
遠くからきてくれたお客さんにはおまけするのが、空想の流儀。
しかも以前通販でガンタマと冒険を買ってくれていた。
夕方モンマくんが古い蓄音機を持ってきてかけてくれた。
ツゴイネルワイゼン。
音が香るようだ。
竹だけでなく針には、
サボテンを使うこともあるようだ。

10月22日(木)
金太郎誕生譚(高崎正秀)入手。
金太郎がまたひとつ浅草と繋がってしまったではないか。
これ以上はまだいえないな。
われわれは目を開けてすぐ近くの宝物を見ようとはしない。
キントトから金太郎こけしをもらう。
なんて奇怪で、なんてなんてセンスオブワンダー!

10月23日(金)
うれしいオマケが届いた。
たむらしげるさんが僕のホームページ用に、
新しい動くロボットを作ってくれた。
ピカピカピカリン。
電気のいい匂いがする。
ありがとう、たむらさん。

10月24日(土)
ポストイットのソフトをはずしたり、
使わなくなったファイルを消去したり、
パソコンのお掃除をした。
すっかり軽くなった。
サクサクサク。
エラーもでないぞ。
でもまだクリックが飛ばない箇所があるのは、
どうしてだろう?
嫌われてるのかな。
フリーズしないだけいいよ。
そういわれればそうだけど、
古くなってエンジンのかかりの悪くなったオートバイ
といっしょだよ、こんな具合じゃ。
理屈からいったら問題ないはずなのに、
訳がわからない。
見かけはデジタルだけど、ミクロではデジタルもアナログも
かわんないってことかな。

10月26日(月)
板倉くんが突然現れる。
来年テレビで未来特撮番組をやるらしい。
ベースはどうやら「陰陽道」の様子。
この平成の安倍晴明も、すりにやられたとこぼしていた。
来年1999年の僕は、何があっても泣き言は言わない。
だってこの世紀末を目撃するために選ばれたのだから。
確信がある。

10月28日(水)
やっと八ヶ岳へ行けた。前は台風でキャンセルだったので。
反骨の歴史家八切止夫さんいうところの「八の民」の本拠地だから、
ヤの末裔である僕にとって悪い環境であるわけがない。
縄文の遺跡があるのは当然だし。
滝を一つコレクションしてきた。
麦草峠を下ったところにある。
巨岩と滝の組み合わせ、太古の回廊だ。
今日は一年中でいちばんいい天気の日だ、
地元の人がそういっていた。
黄色の紅葉だったけど。
まるで天然素材のセーターのようだ。
美術館に調べものがあったのだけど、次にしよう。

10月29日(木)
夕方ちょっと早めに店じまいして、
上野の科学博物館のクジラの骨の前で
たむらしげるさんの取材撮影の現場に立ち会う。
急遽カメアシ、何年ぶりだろう。
昔コピーライターをやっていた頃は、よくやらされたものだが。
実際は巨大なクジラの模型なのだが、
正面から見るとお化けしゃもじにも見える。
終了後、たむらさんと読売新聞の石田氏と三人で、
浅草の米久で牛鍋。
話題はパソコンのことだった。

10月30日(金)
編集者とうちあわせ。
おもちゃ文化の原稿を書くことになる。
外人向けに英訳も付くので楽しみが増える。
こうでなきゃ。



●次の月のガンタマ日記へ

●空想雑貨トップへもどる